それでもあなたを愛してる
1

「ごめんな……佐奈」

眠りについた彼女を、そっと抱き上げてベッドへと運ぶ。
こんなふうに酔わせたのは、彼女を抱く訳にはいかなかったから。

甘えるようにしがみついてきた彼女の口に、キスでワインを流し込んだ。

『圭吾、大好き…』

彼女の声が、切なく耳に残る。

「佐奈、ごめん。ちゃんと愛してやれなくて…ごめんな」

俺は一晩中、懺悔の言葉を繰り返していた。



< 1 / 90 >

この作品をシェア

pagetop