それでもあなたを愛してる
「佐奈。もしかして、試験近いの?」
夕食の後、リビングで大学のテキストを広げていると、圭吾が後ろからのぞき込んできた。
「うん。試験、明後日からだった。だから……やっぱりお見合いの日は…ずらして欲しいかな」
そう。
さっきはうかっり返事してしまったけれど。
よく考えたら、私はお見合いなんてしている場合ではなかったのだ。
「分かった。じゃあ、佐奈の試験が終わってからに延期しような」
「うん」
ホッとして頷くと、圭吾は向かいの席にすわりノートパソコンを開いた。
「圭吾も仕事?」
「ああ…まあ、色々と書類が溜まっちゃって」
「ふーん。じゃあ、私が寝てたら起こしてね。1時までは絶対頑張りたいから」
「いいけど。そんな、いきなり無理して大丈夫か?」
「大丈夫だよ」
と、そんな会話を交わしてから、どのくらい経った頃だろう。
「佐奈…ここで寝たら風邪引くよ。ベッドいこう」
耳もとで圭吾の声がした。
私はいつの間にか、リビングで眠り込んでしまったようだ。
「うーん…もう少しだけ」
私は重たい瞼を開けられずにムニャムニャとそう答える。
すると、
フワッと体が持ち上げられた。
あれ。
私…お姫様抱っこされてる。
そして、フワリと圭吾の匂い。
うーん、何だかとっても幸せだ。
「圭吾……大好き……」
私はふわふわとした意識の中で、圭吾に愛される幸せな夢を見ていたのだった。