それでもあなたを愛してる
4
圭吾と同居を始めてから一週間が過ぎようとしていた。
試験もいよいよ今日で終わる。
「ねえ、佐奈ちゃん。良かったら試験の後、どこかに遊びに行かない? 真崎さんは彼氏じゃなくて、ただ迎えに来てくれてるだけなんでしょ?」
隣の席から、塩田さんがコソッと耳打ちしてきた。
実は彼女には、圭吾は彼氏ではなく父の秘書だということをきちんと伝えたのだ。
彼女は、私が社長令嬢だということも知らなかったようで少し驚いていたけれど。
こんな風に変わらずに仲良くしてくれていた。
「ごめん。今日はちょっと…お見合いがあって」
「は! お見合い!?」
試験前の静かな教室に塩田さんの声が響き渡る。
「ま、万里ちゃん…声大きいよ」
一気に注目を集めてしまった。
「あ…ご、ごめん。いや…でも…どういうこと…かしら」
塩田さんは目をぱちくりさせた。
そりゃ、そうだよね。
いきなりお見合いだなんて聞かされて、驚かない方がおかしい。
「うん。後で全部話すから」
こうして、私は試験の後、
今までの経緯を全て塩田さん…いや万里ちゃんに聞いてもらうことになった。
そう。
圭吾がニセの恋人だったことも…。
「そっか。そんなことがあったんだ。それは辛かったね」
大学のカフェテリアで、万里ちゃんは目を潤ませたり、怒ったり。
私の話を親身になって聞いてくれた。
女友達に悩みを打ち明けたことなんてなかったから、何だかちょっと不思議な感覚だったけれど、彼女に聞いてもらって気持ちがだいぶ楽になった。
「だからね…今日はお見合い相手の人を含めて圭吾と三人で食事をすることになったの。あちらのご両親は忙しい方で都合がつかなくなってしまったから、かしこまった席ではないんだけど…やっぱり緊張しちゃうよね」
ハハハと笑う私を見て、万里ちゃんは複雑そうに顔を歪めた。