それでもあなたを愛してる
ふと気がつくと、佐奈がグッタリとベッドに横たわっていた。
「ごめん…大丈夫だったか?」
佐奈の体を後ろからそっと抱きしめる。
愛おしい佐奈の体に触れて、つい正気でいられなくなり、夢中で抱いてしまったのだ。
「うん、大丈夫だよ。ちょっとビックリしたけど…嬉しかった」
佐奈はゆっくりと俺の方に顔を向けた。
「私……こんな風に一つになったの初めて。圭吾は?」
「……え?」
まさかの質問が飛んできた。
「あ……慣れてるから、いっぱい…してるよね」
小さく呟く佐奈を抱き寄せ、耳もとで言う。
「……初めてだよ」
「え?」
「こんなに愛おしいと思って抱いたのは…佐奈が初めて」
佐奈はジッと俺を見つめた後、ぱあっと顔を輝かせた。
「ホント? 良かった!」
俺の首に手を回し、佐奈はギュッと抱きついてきた。
佐奈のふくよかな胸が思いきり当てられた。
「佐奈ちゃん……そろそろいいかな?」
再び抱こうとキスを仕掛けると、佐奈はスルリと俺をかわしてベッドから身を起こした。
「うん! じゃあ、そろそろ夜ご飯にしようね。今日は鍋にするつもりだから、また一緒に作ろう、圭吾」
何をどう勘違いしたのか分からないけれど。
とにかく俺のお姫様は、何とも幸せそうな顔で笑っていた。
まあ、いいか。
俺はこの笑顔を見る為に、この世に戻って来たのだから。
「じゃあ、キスだけね」
俺はクスッと笑いながら、彼女に頰に口づけたのだった。
[完]