【短編】お菓子な関係


「あのさ、吉岡。気ぃ使ったり遠慮とかって、頭いいやつのすることだよ」


「えっ、」


普段から失礼な人だけど、今日は一段とすごすぎるよ。


「頭悪いなら悪いなりに、人の親切に甘えろよ。その方が可愛げがある。それに…」



星川くんは、お皿から一枚のクッキーを取ると、私に見せるようにした。



「散々人に美味しいもの食べさせておいて、タダって言い方はないでしょ?」


また得意のふわっとした笑顔をこちらに向けると、星川くんはポカンと開いていた私の口にクッキーを放り込んだ。



「追試で挽回するから〜ってママさんに頼んでよ。吉岡の至福の時間は俺の至福の時間でもあるんだからさ」


「星川くん…」



『吉岡の至福の時間は俺の至福の時間』
なんて。


そんなこと言われたら、素直に嬉しくて断れないよ。




< 5 / 13 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop