【短編】お菓子な関係
「あのさ、吉岡。気ぃ使ったり遠慮とかって、頭いいやつのすることだよ」
「えっ、」
普段から失礼な人だけど、今日は一段とすごすぎるよ。
「頭悪いなら悪いなりに、人の親切に甘えろよ。その方が可愛げがある。それに…」
星川くんは、お皿から一枚のクッキーを取ると、私に見せるようにした。
「散々人に美味しいもの食べさせておいて、タダって言い方はないでしょ?」
また得意のふわっとした笑顔をこちらに向けると、星川くんはポカンと開いていた私の口にクッキーを放り込んだ。
「追試で挽回するから〜ってママさんに頼んでよ。吉岡の至福の時間は俺の至福の時間でもあるんだからさ」
「星川くん…」
『吉岡の至福の時間は俺の至福の時間』
なんて。
そんなこと言われたら、素直に嬉しくて断れないよ。