【短編】お菓子な関係
「それにしても…すごいなぁ」
星川くんはそう声を漏らすと、昨日の夜に私が作ったプリンを一口使い捨てスプーンですくって食べた。
「こんなの、作ったうちに入らないもん」
「いや、本当に毎日よく作るなって、ん!!うまっ!」
目を大きくさせて嬉しそうにスプーンをくわえる星川くんの顔。
お菓子を作るだけがストレス発散じゃなくて、この顔がもっと作りたいって思わせてくれるんだよな。
「…食べる?」
私の顔を覗き込みながら、スプーンですくったプリンをプルプル揺らしながら私に見せた星川くん。
なんでもできるくせに、ちょっと鈍感でマイペースな彼にとって、この行動には何の意味もないんだろう。