ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ2 【完】



「伊達重信さん。あなたがあの病院を見張っているのは、君江さんの命を狙っているから? そして、息子が起こした事件を掘り下げようとする人物を、俺たちのように葬り去る」

「く……」

「それを、息子との面会で固く誓った。ちがいますか?」

「お、お前……」

銃口が力なく下がっていく。

男の目は泳ぎ、魂が抜けたようだ。

……隙。

そう、隙ができた。

「う゛おぁああーーッ!!」

その瞬間、祐一郎が男の手もとに飛びかかった。

ふたりの身体は床を転がり、俺は唖然として手出しできない。

激しい格闘の末……。




「ハハッ……ざまぁみろっ! 形勢逆転だ」

男の頭に銃口を向けて見下ろす、祐一郎。

だが、相手は冷静そのもの。

「フンッ、撃てるものなら撃ってみろ」

「う、撃てるさ!」

「やめろ……」

「それは、ガキの遊び道具じゃないぞ」

「僕はガキじゃないっ!」

「祐一郎!」

目が血走り、今にも発砲しそうな予感。

「落ち着け、祐一郎! な?」

「う゛る゛さ゛い゛!!」

殺さなければ殺される。

極限たる精神状態の渦中に、彼はいるようだ。

「正当防衛……そう、正当防衛だよ! それに、こんなトコじゃ、死体は誰にも見つからない。フッ、ハハハッ」

……ヤバい!

祐一郎の恐怖はオーバーランし、完全にイカレている。

男は死を望んでいるのか、なおも挑発を続けた。

「カメラのシャッターよりも引き金は重いぞ。キミに引けるのかな?」

「……こ、殺してや゛る゛っ゛!」

「やめろーー!!」

次の瞬間。



 
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