ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ2 【完】



――カチッ。

渇いた音が小屋の中に鳴り響く。

「……ぇ、ん?」

「ッ……」

おもむろに瞼をあげると、銃口に揺らめく炎。

「ラ、ライター?!」

男は立ちあがり、ズボンに付いたホコリを叩きながら拳銃型の着火装置を奪う。

というより、祐一郎の手からそっと抜く。

「驚かせてすまなかったな。こうでもしなきゃ、本当のことを訊きだせないと思ってね」

「「…………」」

次に男が放った言葉は、まっ白な頭を驚愕で染めた。

「私は伊達重信ではない。本当の名は、兵藤新八。磨理子の父親だ」

「……え!? 磨理子さんの父親!?」

笑えない冗談にもほどがある。

だって、彼女の父親は自ら命を絶ったと聞かされていたから。

……たしか……。

教えてくれたのは浦野刑事。

「その様子だと、私は自殺したって聞かされていたんだろ?」

「ぇ……ぁ、はい」

「誰に? 君江か?」

「いえ、浦野さんです」

「浦野!?」

彼の名を声に出すと、男はテーブルの上に置かれている1発の銃弾を見つめた。

……まさか!

「それって……」


 
< 106 / 172 >

この作品をシェア

pagetop