ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ2 【完】
「これか? 警察学校を卒業したときに、アイツと……浦野と誓いを立てたんだ。“拳銃を抜かなくてもいい世の中を作ろう”ってな。銃に弾を込めるんじゃなくて、この弾自体に、そんな願いを込めたんだよ」
俺は、またもその銃弾に心を打たれる。
男の眼前に、スッと手のひらを差しだした。
「僕の名前は、大橋敬太です」
「ぉおい、いいのかよ!?」
すかさず、祐一郎が間に入る。
「実際まだ頭の中がグチャグチャだけど、絶対に悪い人じゃないのは判った。祐一郎、俺を信じて!」
「……ぉ、お前がそこまで言うなら」
と言いつつ、銃を突きつけられたことを根に持っているのか、すぐにソッポを向く。
「アイツは元気にしてるか?」
俺と握手を交わしながら、新八はそんなことを訊いてきた。
「…………」
無意識に視線を落としてしまうと、悲しい答えを察したようだ。
「まさか……死んだのか?」
「……はい。亡くなりました。先月……」
「浦野が!? 死んだ……」
身体の力が抜け、ひとり掛けのソファにドスンと腰をおろす。
その落胆ぶりは、偽者じゃないと理解する大きな判断材料だった。
「僕は一度だけ、浦野さんの涙を見ました。それは、あなたとの思い出を語っていたときでしたよ」
「……そうか。アイツは、どんな最期を?」
新八は目頭を赤くしながら、俺が話す死の経緯を静かに聞く。
「浦野さんがいなかったら、僕は今川という刑事に殺されていたと思います。感謝してもしきれない」
「アイツは最後の最期まで、“正義”を貫いて生きたんだな?」
「ええ。尊敬できる人でした」
まだそう古くもない数々の思い出を噛みしめる。
旧友を誇らしく感じていたのか、新八はかすかに頬を緩ませていた。
「ところで、教えてくれないか? キミと妻、君江との関係を」
「……はい」