ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ2 【完】
……学校に、あんな先生いたか?
「母さん。あの人、誰?」
「刑事さんよ」
「刑事!?」
「ことみが通り魔に遭って、ショックで部屋から出られなくなったでしょ。でも、あの刑事さんたちが親身になってくれて、ことみは元気を取り戻したの。優しくて熱心で、とてもいい人よ」
その言葉を聞いた僕は、哀愁漂う背中を追いかけた。
「あの!」
白いセダンに乗りこもうとしていた彼だったが、ネクタイだけを車内に投げてドアを閉め、振り返る。
「キミは?」
「ことみの兄です。捜査は今どうなってるんで……」
「もう゛イヤ!!」
そのとき、僕の言葉をかき消すほどの叫び声が背中越しに聞こえた。
……もう?
とっさに振り返ると、ひとりの女子高生が白い砂利に膝をついて、嗚咽交じりにうなだれている。
着ている制服は、僕と妹が通っている高校のものではない。
その子を抱きかかえる取り巻きの女子たちもまた、制服はバラバラ。
だが、何人かは見覚えがあった。
たしか、ことみの中学の同級生。
僕はその輪の中に身を投じる。
「キミ、今“もう”って言ったよね? それは、どういう意味?」
「お兄さん……」
叫び声をあげた張本人は、暗い顔。
なぜか、取り巻きの子が答えた。
「だって……友達が死ぬのは、もうイヤだから」
「ってことは最近、ことみ以外で誰かを亡くしたの?」
「……はい。中学のときの同級生です」
すると、誰かがポツリとつぶやく。
「みんな呪われたんだ……」
「里恵!!」
「だって、そうじゃん! ことみも他の4人も、あれをやってたんだから!」
……呪い。
いかにも女子高生が好きそうな言葉。
「フッ」
大事な妹の死も、その類いのせいにされてしまうことに、思わず鼻で笑ってしまった。
それでも。
「詳しい話を聞かせてくれないかな?」
と持ちかけると、彼女たちは内に秘めていた恐怖心を話してくれた。
「これを見てください」
里恵と呼ばれていた子が差しだした携帯電話。
その画面には……。