ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ2 【完】
「もしかして、彼には個人的な恨みでもあったのかな?」
「…………」
――チャリーーンッ。
しばらく沈黙したあと、祐一郎は突然、ピンセットを流しの傍に投げた。
「フッ、ハハハハッ! クッハハハッ……」
そして、腹を抱え、狂ったように嗤う。
「さすがは元刑事だ」
「……磨理子の呪いを利用して3人を殺した。その罪を認めるんだね?」
私の追及に、彼はキッと睨み返す。
「だから、なに?」
「な゛!?」
「僕は、痛みでもがき苦しむアイツらを楽にしてやったんだ! むしろ感謝してほしいぐらいだよ。そこまで言うなら、証拠を出せよ! 僕が3人を殺したっていう証拠を!!」
「それは……ない」
「フンッ、ご苦労様。作業の邪魔なんで、帰ってもらえますかねー? “元”刑事さん!」
これでよくわかった。
彼はやはり、人間という化けの皮を被った悪魔だと。
「カンちがいしてもらっては困るよ。ここからが本題だ」
「え!?」
昨日、宇治木に電話をさせ、あることを確かめさせた。
長谷川菜摘の元に、祐一郎が現れたか。
結果は、ズバリ的中。
彼女に鎮静剤を投与するため運んだ病院に、この男は姿を見せていた。
「復讐のため。刑事にはそう言ったみたいだね」
「ああ! 大切な妹を殺したんだ! 憎んで当たり前だろ?」
興奮なのか、はたまた焦りか。
祐一郎は喉が割れんばかりに叫ぶ。
「本当にそうかな? 口封じだったんじゃないのか?」
「……な、なにが言いたい!?」
ついに、祐一郎を追いつめるときが来た。
「妹、前原ことみを殺したのは……キミだね?」