ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ2 【完】
『通り魔に遭ったばかりだろ? 夜中にひとりで出歩いたらあぶない! 今度こそ、お兄ちゃんが守ってやるから』
『プッ! ハハッ、ハハハハッ……。なにそれ!』
『だって約束したじゃないか! ことみをいつまでも守るって。指切りげんまんしたろ!?』
『バカじゃないの? 子供の頃の単なる遊びでしょ! つーか、キモい!』
妹は寒気を感じたように腕をさすった。10月の風はたしかに冷たい。
『ことみが、ことみがお兄ちゃんに守ってほしいってお願いしたんだぞ! 忘れたのか!?』
『しつ゛こい゛! 仮に、そんなくだらない約束してたとしても、ほら見てよ』
僕の前に手を差しだして言う。
『小指はないから、約束も無効。ね?』
『そんな……ウソだ』
生きる意味を失った気がした。
『今すぐ帰って! 友達と会うんだから』
ことみが、遠く離れていく。そんな気がした。
大好きな妹が、僕のモノじゃなくなる。
いや、僕だけのモノにする方法が1つだけ残されている。
『ちょ、っと! なにやってんの!?』
抱えていた愛犬を放すと、土手の下の草むらの中へ消えていく。
妹はそれを追う。僕も、それを追う。
『キャッ!』
回りこんで、妹の前に仁王立ち。
『な゛、なに!?』
『……ことみ、アイシテル!』
僕は妹を押し倒し、首を絞めた。
『ぐ、ぐぎぐ……』
そりゃもう、とても苦しそうな表情をしている。
『へぇ~、そういう顔するんだ!』
苦悶に満ちた顔にも“えくぼ”が映えていた。
新たな収穫。
だが、僕の独占欲はまだ満たされない。
わざと手を放すと、妹は這いつくばって逃げた。
『ゲホッ、ゴホッ! 殺す気!?』
振り返るその目は、悪魔を見るよう。
『こ、来ない゛で! 叫ぶよ!』
僕はことみに馬乗りになり、再び首を絞める。
『愛してる゛よ。アイ゛シテル……』
胸もとにできたかすかな空間が想像力を極限まで刺激して、しなやかに伸びる脚がジタバタと暴れ、興奮は絶頂。
『ガッ……く゛、ゃ、や、め……て』