ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ2 【完】



浩介がライオンに手を喰いちぎられたとき、その光景に理性が躍動した。

『もう一度見たい!』

この思いは抑えきれなくなり、気絶した彼の身体を引きずって、足を檻の中に突っ込んでやった。

バカみたいに叫ぼうとするもんだから、アイツの口を両手で塞いだんだ。

そしたら……死んじまった。

四肢を工場の裁断機に投じたタクミは、あまりに可哀想だったから、首を絞めて息の根を止めてあげた。

ただ、それだけのこと。

問題は杉山だ。

あの野郎、フリーターのくせにいつも偉そうで、いけ好かない。

ネットの世界でもやりたい放題で、特定の人間を中傷し、対抗すれば吊るし上げ、あげくに仲間と共謀して炎上させたりする。

因果応報、だから燃やしてやったのさ。

呪いによる死に方とは大きく外れてしまうが、火をつけた瞬間の爽快さといったらもう。

あのとき、こう思ったんだ。

皆が恐れる呪いの化身・伊達磨理子。必ず人を死に追いやるという彼女を利用してやろうと。

嫌いなヤツは全員、呪いのゲームに巻き込んで殺せばいい。

いや、それだけじゃつまらない。

公園の大木を眺めていたら、僕はひらめいた。

必死に生きたいと懇願するヤツに、金で助かる方法を売ればいい。

そのためには知っておく必要があった。

おしゃべりな宇治木は、大橋敬太という男に会えと言う。

彼は、呪われし禁断のゲームの数少ない生き残り。

だが、いざ会ってみると、頭の中はお花畑。

助かった理由を“愛”だとぬかす、おめでたいヤツ。

しかし、そんな彼のおかげで、小指を失う“終わりの儀式”だけでなく、無傷で助かる鏡を使った方法を知ることができた。

終わりの儀式は10万円。鏡は20万かな。

そんなことを考えていた矢先、あらぬ方向に事が進みはじめる。

呪いの根絶に向けた動きだ。

まさか、伊達磨理子の父親が登場するなんて、想像すらしていない。

だけど、このときには呪いのゲームなんてどうでもよくなった。とんでもないお宝を見つけたから。

それは、己の欲を満たすために、あの女を性のオモチャにした獣たちが載る顧客リスト。

芸能界やスポーツ界の大物がわんさか。

世の中変態ばかりかと、この国の未来を危惧したほどだ。

僕は確信したよ。

『これは大金を稼げる!』

とね。



 
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