ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ2 【完】
新八は、僕の殺害動機までも見抜いていた。
「子供にでもわかるように、事件の経緯をおさらいしよう」
余裕に満ちた挑発的態度に、僕の決意は固まる。
「妹さんは長谷川菜摘に呼び出された。正確には、磨理子が憑依した、菜摘にね。待ち合わせ場所は、遺留品が見つかった川べり。そこでことみは、キミとなんらかの理由で口論となり、殺害された。そして、その一部始終を菜摘が見ていた。警察は彼女が犯人だと思い込み、逮捕。彼らは手を焼き、キミには幸いだった。なぜなら菜摘は、磨理子に憑依されたままで、マトモに話せる状態じゃなかったんだから。しかし、磨理子が消え、真実が暴露されることを恐れたキミは、菜摘をも殺害した」
「くっ」
……そ!
「キミが妹である前原ことみを殺した!! そうだろ!?」
もう、腹をくくるしかない。
僕はうなだれて、問いかける。
「いつから?」
「ん?」
「いつから、僕が怪しいと?」
「……最初に会った日だよ。私に向けて拳銃の引き金を引いたあの瞬間の目は、人を殺せる目だった」
見透かされたことに落胆を隠せず、僕は深いため息をつく。
「私にもまだ“刑事のカン”が残っていたようだ。鼻が利くってやつかな」
「……鼻か、フッ」
「おや? なにか変なこと言ったか?」
……なるほど。だからか……。
ずっと不思議だった。
伊達磨理子にはじめて遭遇した日、彼女はゲームに参加していない僕のところまで這ってきて、臭いを嗅いだ。
そして、嗤ったんだ。
あれがどういう意図だったのか、今ならわかる気がする。
『人を殺すことに躊躇いがないオマエは、この私と同じだ』
常識を遥かに超えた忌まわしき存在からも見透かされていた、というわけ。
「やっぱり、オッサンの娘だよ……コレは」