ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ2 【完】
カメラのシャッター。それはすなわち人間でいうところの、“瞬き”だ。
3枚目が映しだしていたのは、伊達磨理子の頭。
そして、ひとすじの糸は髪の毛。
「ぁ゛あ゛、ま゛……磨理子」
――ゴボガボゴボッ。
おぞましい瞳。細い首すじ。長い黒髪。
写真の中から、呪いの化身伊達磨理子が現れた。
まさに、戦慄の宴。
――ドシャッ!
四肢のない胴体が、床へずり落ちた。
へたりこむ僕の目の前に、彼女がいる。
――…………。
首を傾け、倒れている父親を見つめていた。
おそらく、泣いているのだろう。
いやそれは、激しい怒りか。
髪の毛が小刻みに揺れはじめる。
僕は、全身の汗が瞬時に引いていくのを感じた。
トッ――トンッッ――
チュルルッ――
「は、あ、っ、来るな゛あぁーっ!!」
とっさに立ちあがり、この場から逃げだす。
部室のドアを開けて、廊下に叫ぶ。
「誰か゛ぁあー! 助け……ッ!?」
彼女の仕業か。
まだ暗くなる前の校舎に、誰もいない。
人の声すら聴こえない。
あるのは……。
トッ――トンッ――
チュルルルッ――
身体を這いずるこの音だけ。
……殺される!!
もつれる足。何度も転倒しながら、僕は廊下を走った。
無我夢中で、向かう場所を考える余裕もなく。
だが、身体が覚えていたのだろう。
我に返ると、自分の教室の前にいた。