ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ2 【完】



キィユーーーーーーッ――


       キューーーーーッ――


皮膚を擦らし、彼女は仰向けの状態でベッドの下から這い出た。

思わずベッドの端まであとずさると、ムクッと身体を起こして向かい合う。

「ゴクッ」

風など吹いていないのに、黒髪は大きくはためいていた。


――キイィーー……ィイーーーンッ。


鳴っては消え、消えては鳴る、扇情的なエコー。

俺はそれに臆することなく、磨理子さんの目を見つめる。

闇の奥深くまで引きずりこむようなその瞳を。

「っ?!」


  ザザッ――


一瞬のまばたきで、シーツの上までよじ登った。

俺はもう一度、自分の意思で瞬きを。


         ズザッ――


瞬時に瞼をあげると、30センチもない距離に、磨理子さんの青白い顔があった。

……まだだ。

もう一度。


  ザッ――


「磨理子さん!」

身体が心臓の上に達したとき、俺は彼女を強く抱きしめた。

氷のように冷たい身体を。子供のような小さな身体を。

「ずっと、ずっと……こうしたかった」



 
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