ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ2 【完】
「ごめんごめん!」
「べ・つ・に!」
プイッとそっぽを向く沙奈。その横顔がこれまた愛らしい。
でも、笑った顔が見たいから、弱点の脇腹をつついてご機嫌を取る。
……あれ?
まったく効かない。
「ねぇ……」
「ん?」
それどころか、猫を撫でたときのような彼女の甘い声に、理性が持っていかれそう。
「あの答え、わかった?」
「……答え?」
「小指を噛み切ったあとに言ったじゃない」
「あぁ~、あれか……」
すっかり忘れていた。
……“サホという女の子”と、俺たちのときはたしか言っていたような……。
「ダメだ。思い出せない」
それがいったい、なにを意味しているのか、いまだに皆目見当もつかない。
「私……答え、知ってるよ」
「えっ!?」
誇らしげに口もとをゆるませる沙奈。
一瞬、空が紫色に光って見えた顔は正直、不気味だった。
「じゃ~あー、敬太に10秒のシンキングタイムと、同時にヒントもあげちゃおう! いい?」
――ドゴォ――ンッ!!
遅れてくる雷鳴。
彼女は怖がるどころか、俺の身体を押し倒して馬乗りになる。
しなだれた長い髪から漂う、花のような芳しい香り。
大きく開いた胸もとにも恥じらいを見せず、俺の頬を、しなやかな指先が戯れる。
「さ、沙奈?」
……いつもとちがう。
まるで、大人のオンナ。
その魅惑の妖艶さに心は奪われた。
だが……。