ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ2 【完】



やみくもに角を曲がっていくと、大きな通りに出る。

この時間でも店の明かりがチラホラついている、その街の飲み屋街だった。

「ぁ!」

……いた!遠くに、見覚えのある背中が見える。

酒なんて飲んでいないはずなのに杉山さんは千鳥足。

「おーい!」

声が届いていないのか、ある居酒屋の前で止まって看板をじっと眺めている。

「え!?」

まさか、と思う間もなく、店に入っていった。

僕たち未成年者にはまだ縁のない場所だ。

また面倒くさいことになる前にと、あとを追う。

階段を駆けあがり、ボタン付きの扉が開くと、閉店を知らせる看板がドまん中に立てられていた。

節電対策か、店内の照明はところどころ消えている。

「すみません……」

反応がない。

レジ横に呼び出しベルがある。

誰かと一緒なら、ふざけ半分で押せるのだが……。

「すみませーん!」

こんな所で店員を呼ぶのははじめてで、少し声が上ずった。

「はーい」

すると奥の座敷から、右手に布巾、左手に醤油差しを持つ店員の女の子が顔を出す。

「ごめんなさい! 今日はもう閉店で」

「ぁいや、あの、今、若い人が入ってきたと思うんですけど……」

店員は眉間にシワを寄せて首を傾げる。

ちょうどそのタイミングで、トイレから、もうひとりの従業員が出てきた。

「ねえ、ケンくん。今、誰か入ってきたっけ?」

「ぇ? 俺は見てねえよ」

刹那!!

「ぬ゛あああ゛あぁああーーー!!」

店内にこだまする、うなり声。

天変地異でも起こったかと思わせる絶叫に、全員が身をすくめた。



 

< 67 / 172 >

この作品をシェア

pagetop