ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ2 【完】
約15分後、1台のパトカーが家の前に到着し、紺色の雨合羽を着たふたりの警察官が現れた。
両親に事の詳細を聞くと、ひとりがまた車に戻る。
「ところでキミ、その首のアザは?」
「ぇ……これは、ん……っと」
いきなりのことに、言葉に詰まる。
「ちょっといい?」
そんな俺を玄関の外に連れだし、刑事は小声で言った。
「もしや、彼女と派手なケンカでもした?」
「いいえ!」
「沙奈ちゃんだっけ? キミを殺してしまったとカンちがいして逃げてるんじゃないの?」
「ち、ちがいます!」
このタイミングで、もうひとりの警察官が戻ってきた。
「お嬢さん、1ヶ月ほど前に、ご両親から被害届が出されてますね?」
世紀の大発見でもしたかのように息をきらしながら問う。
「はい、たしかに。通り魔に遭って、そのときに」
「なるほど……」
このやり取りが不毛に思えた。
小指を失ったあの日、ケガの理由を求められた俺は、とっさに“通り魔に遭った”と言った。“終わりの儀式”の方法を教えてくれた前原ことみのように。
真実を話せたらどんなに楽か。
だが、それもできない。