ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(上) 【完】



好奇心旺盛な性格は宇治木に負けじと劣らない俺。

這いつくばり、恐るおそる床下を覗いた。

すると、そこには。

「ッ⁈」

白い布で覆われた箱。大きさは、ついさっきまで抱えていた物と合致する。

「宇治木さん!」

大声で彼を呼びつけ、箱を引っ張り上げた。

「それって……まさか⁉」

今度は一瞥どころか、ベッドの上を凝視する彼。

「「遺骨⁈」」

答えが揃い、俺はきつく絞められた結び目をほどく。

「ちょ、敬太君」

「確かめるんですよ!」

赤の他人が勝手に開けるのは不謹慎かもしれない。

だが、骨壺の中を見て確信を得たかった。

――……。

ひとときの間を置き、意を決して蓋を開ける。

「ッ……磨理子さん」

俺の勘は正しかったようだ。壺の中の遺骨は、新八のそれと比べると一目瞭然に少ない。

すなわち、四肢の無い状態で弔らわれた証。

「磨理子さん゛……」

彼女はここにいた。ずっと、父親の傍に。

また会えたことは嬉しい。でも、こんな形での再会は哀しい。そんなどっちつかずの複雑な思いで、覆い被さるように抱きしめる。

しかし、力の源は次第に憐れみが先行していく。

何故なら、この親子には安眠できる場所がまだ見つかっていないから。

あまりに不憫でかつ、己の無力さを痛感する。

でも、俺は泣くことをしなかった。

新八が死んだときや、灰になった姿を見たときもそう。

一番哀しいのは当事者のはず。

嘆き苦しむばかりが残される者のすべきことではない。

大切な者の死を受け入れ、強くなる。それが俺の使命だと深く心に刻んでいた。

しかし、すぐにその思いは一変する。



 

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