ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(上) 【完】
俺の名前は大橋敬太。
今、病院に向かうタクシーの中で、この2カ月間に詰まる悲劇の数々を思い出していた。
“些細な好奇心”が寄り集まり、“興味”へと膨れあがったあの夜。
9月10日の午前3時3分。
仲間6人で、死のゲーム【ダルマさんが転んだ】を実行してしまった。
その日から毎夜、呪いの化身である伊達磨理子が現れ、次々に親友の命を奪っていく。
俺と、いま隣に座っている沙奈は、終わりの儀式によって死は免れた。
しかしそれは逃げるための猶予にすぎず、磨理子は沙奈の肉体と精神に潜伏し、来たる日を待っていた。
儀式から33日後……。
再び覚醒した磨理子。すなわち沙奈は、俺の首を絞めて殺そうとした。
だが、沙奈の思いか、はたまた磨理子の“赦し”か。
俺は命を奪われずに目を覚まし、表裏一体のふたりを捜して奔走。
その中である人物と出会った。
兵藤新八。磨理子の父親だ。
彼は娘の怨念を浄化するために奮起し、さらには“迷宮の門番”と称される推理力で、ひとりの悪魔をあぶり出した。
悪を突き進む者に鉄槌が下され、正義を貫いた者には代償がつきまとう。
そんな世の常を証明するように、新八は瀕死の重傷を負って病院へと運ばれた。
辛くも一命は取り留め、磨理子との約束を果たそうとしていた、その矢先……。