ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(下) 【結】
高校2年生になり、親友と呼べるまでの存在が私の傍にあった。
いつも3人で行動をして、色々なトレンドの話題で盛り上がる。
そのひとり、西薗愛依には最近彼氏ができて、幸せいっぱいだ。
『サッチーだって可愛いんだから、すぐ彼氏できるよ!』
『やややややや! 私は……』
『なんならカレにお願いして、合コン開いてもらおうか? ね⁉』
『うん、しよう!』
『…………』
私は乗り気じゃないが、まんざらでもない。
恋なんか無縁だと思っていたけど、興味はあった。
そりゃあ、人気の若手俳優で妄想を繰り広げる女子高生の中にいたら、そうもなる。
どんなデートが理想で、初キスは何回目に許して、何カ月目かに彼の家で……。
なんて、想像するだけで顔が熱くなった。
結果を言えば、当日緊張しすぎてまったく話せず。
男の子のほうは積極的に話しかけてくれていたのに、相槌を打つのがやっとだった。
『サッチーは極度の人見知りなの!』
と、愛依に気を遣わせてしまうほど。
それでも、こんな私に好意を持ってくれる人がいた。
優しくて気さくで、バスケ部に所属しているマナトくんだ。
彼こそ、初対面のときに最後まで話しかけてくれた人。
3人で試合を観に行ったとき、鮮やかな3Pシュートを決めた彼が、私に向かって人差し指を突き上げた瞬間、
『ヤバッ……』
惚れた。それは、心のゴールリングに突き刺さるダンクシュートのような衝撃。
1カ月後、私たちは付き合うことになり、17回目のデートでやっと手をつなぐ。
『あんたら、お墓の中で初体験するつもり?』
少し口が悪いもうひとりの親友あきほがそう揶揄するぐらい、マナトくんとゆっくり愛を育んでいた。
このときの私は疑う余地もない。
幸せで、明るい未来だけが待っていると信じていた。
あの日までは……。