ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(下) 【結】
でもね、恋なんて、簡単に壊れてしまうもの。
この鏡みたく。私のように。
「消えた……ぉ゛、終わった!」
随分と喜んでいる。これが破壊的なファンファーレだとも知らずに。
「早く逃げよう、彩矢香! コイツらから!」
私の手を取り、強い力で引っ張る。
だが、すぐさま振り払った。
まだ気づかずにヒーローを気取るなんて、とんちんかんの鑑だ。
「彩矢香? もしかして……オマエ」
ネタばらしなんてする気はない。懺悔の声を聞く気も。
何も知らないまま生き地獄へと行ってもらおう。それが、水嶋辰巳に対する罰だ。
「よーく聞いて。あなたたちにはこれから、新世界の住人になってもらう。我々は監視する側。きっと楽しいわよ? もちろん、出るためのチャンスも与えてあげるわ」
敬太は歯向かうことなく、静粛に受け止めていた。
伊達磨理子をこの世に甦らせた罪の意識がそうさせるのか。
その正義感を貫いてもらおう。次なるステージで。
「ウソだろ⁉ 我々って……お前らホントに仲間なのか⁈」
くどい。そろそろ、疑問符を取り除いてあげよう。
仲間に無言の命を送り、水嶋辰巳を羽交い絞めにした。
「離せ゛っ! お゛い゛ッ!」
ひとときの間感じてしまった、私たちの絆。
恋を完全に断ち切る儀式は、呪われし禁断のゲームにも精通している。
「彩……何を゛⁉」
彼の利き手の小指を口に含む。
あなたにも、サヨナラを言わなければ。
「ィ゛! ヤ、やめろッ……」
いや、ここは前を向いて歩くための分岐点。
だから……。
¬
ア
リ
ガ
ト
ウ
∟
奥歯で、別れを噛みしめた。
——グジャバキバキバギッ!!
「ぐう゛ああ゛ああぁ゛――――ッッ!!」
【結】