ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(下) 【結】



一体誰がこんなことをしているのか。

そして、動機は何なのか。

分からないことばかりだが、一縷の光は射していた。

呪われし禁断のゲームから脱却する方法だ。

そのために、この長閑な田舎町にやって来た。

僕は、持ち主不明の携帯電話を握りしめ、すべての真相を解き明かそうと心に誓う。

この件については、あえて探ったりはしない。

これが手元にある以上、犯人は行く先々で僕たちの前に現れるだろうと踏んでいた。

「ずいぶん寝ちゃったね」

「起きたんだ。おはよ……って、今から夜だけど」

目をこすりながらの無防備な姿を見せる彩矢香。

ふと、赤く熟れた果実みたいな口唇に目が縛られる僕。

宝泉彩矢香=愛すべき人

彼女は視線の矛先に気づいて、一滴の雫が水面に波紋するような鼓動。

僕はそっと彩矢香の元へ寄り、あどけない寝起きの顔に口唇を近づける。

今にも触れ合いそ…

「歯磨き!」

「……ぇ」

「歯磨きしてからじゃ、ダメ?」

あまりにもその反応が可愛らしくて、僕は笑った。

それからお互いに服を着て、髪を整え、東京へ戻る準備を済ませる。

このときにはもう、キスをしたいという衝動も一時停止していた。

部屋から出て歩くふたりの距離は、入る前よりも断然に近い。

それだけで、この時間は意味のあるものだったのだ。

もう犠牲者は出さない。残された僕らは必ず幸せになる。

きっとこれが、死んでしまった直哉と亮平とはるかへの弔いになる。

僕はそう自らに暗示をかけていた。




 
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