ひとりきりの夜に。


午前5時。
着信音が鳴る。
眠たい目を擦りながらケータイを見る。
彼からのメッセージだ。




今から帰る!



帰るのは私のところ?
それとも他の女のところ?


そんなこと聞けない私は、


おつかれさま!気をつけて帰ってね。





なにが気をつけ帰ってね、だ。





お前なんか帰り道に逆上した客に刺されて死んでしまえ。




なんて物騒もないことを思うが、もし彼が死んだら私はきっと生きていけないだろう。

いや、死んだら死んだで思いの外充実した毎日を過ごせるかもしれない。




そんなことを考えながらも、万が一、我が家に帰ってきても良いように、軽く化粧をする。




馬鹿みたいだ。


だけど、それほどまでに私は彼が必要だし、必要とされたいと思う。


現在までのトータル睡眠時間は90分。






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