ずっとそばに
〜翌朝〜
「優里ちゃん!!」
「あっおはよ!紗奈。」
教室に入ると紗奈が走って来た。
「ねーねー!昨日向日君と話してたって本当?」
えっ、なんで知ってるの?あたし誰にも話してないのに。
「えっ、うん。よろしくとか言っただけだけど。なんで?」
「やっぱり話したんだ!すごいね!優里!」
肩を揺さぶられてあたしは放心状態。
「なんですごいの?」
転校して来たんだから別に話しても、そんなにすごくないと思うけど...
「だって転校早々、向日君女子にずっと囲まれっぱなしだったんだから!」
「そうなの!?知らなかった。」
あたし屋上ばっかり行ってるからなぁ。じゃあなんで向日君は屋上に来たんだろ...ってあたし何考えてるんだ!関係ないじゃん!
「もう!あたし達も話したかったのに、近づくこともできなかったんだからね!」
頬を膨らませてる紗奈がかわいい。紗奈の笑顔はいつもかわいい。あたしはいつも紗奈が羨ましい。明るくて、友達がいっぱいいて、それに...家族がいる。
「紗奈はいいね。」
あたしが言うと、紗奈はすっごく驚いてた。ほんとのこと言っただけなのに。
「なっなんで?」
紗奈は少し、間を開けてから言った。
「明るくて、友達がいっぱいいてるし。それに...必要とされてる。」
紗奈はいきなり目を見開いた。それから、少し俯いてまたあたしを見つめてあたしの手を握った。
「あたしは優里を必要としてるよ!優里がいないと、あたしは寂しい!」
「紗奈...」
紗奈は少し涙を浮かべていた。あたしは必要とされてると思ったことがなかった。でも、紗奈はあたしのことを必要としてくれた。ほんとにいい子だ。
「あたしは優里が1番の友達だから!」
「ありがと。」
何も知らずにあたしは紗奈にあんなこと言った。あたしは最低だ。自分自身紗奈がいなきゃ、寂しいくせに...
「ごめんね。変なこと言って。頭がおかしくなったみたい。」
笑いながらあたしは誤魔化した。なんであたしはこんなに素直じゃないんだろ...紗奈は気にせず「ううん!」ってにっこり笑って言ってくれた。
「ちょっと頭冷やしてこようかな。屋上行ってくるね!」
「行ってらっしゃい!」
あたしは逃げるように屋上に向かった。何もかもだめ。いい所なんてないんだ。あたしは。
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