ずっとそばに
【優里】
ギイイ...
屋上の扉を開けると、相変わらず太陽が眩しかった。春が明けて、梅雨に入ろうとしているけど、夏じゃないのに暑い。汗が滲んでくる。
「暑い...」
いつもはフェンスにもたれ掛かって、空を見つめるところだけど、今日は思ったより日射しが強いから、陰のある所に座る。陰になっただけで涼しくなった。まだ暑いけど。
そのままぼーっとしていたら、いつの間にか時間が過ぎていた。HRがもう終わってる時間だ。早く戻らないと!
急いで立ち上がって扉のところまで行こうと走り出すと、何故かまた向日君がいた。しかも座り込んで俯いてる。ん?いや、訂正。俯いて寝てる。起こさない方がいいのかな...でも授業始まっちゃうし...
ひとりで悩んでいると、向日君が目を開けた。
「ん...?立花?」
「あっ...」
気づかれちゃった。まあいっか。
「えっと...あっもうすぐ授業始まるよ?」
「まじ?やっべ!」
慌てて立ち上がる向日君。
あたし達は、間に合わず先生に謝って授業が始まった。何故かクラスの女子があたしを睨んでるように感じた。
授業後、机に座ってるとクラスの中でも派手めな女子が3人が目の前にきた。
「立花さん、ちょっといいかな〜?」
その中の特に奇抜な子が話しかけてきた。なんだろ...嫌な予感がする。
「いいけど...」
あたしは中庭に連れ出された。何言われるのか待ってると
「あんたさ、向日君とどういう関係なの?」
教室にいてた時と違って、怖い雰囲気であたしを睨んできた。
「どういうって、何も無いけど...?」
ほんとのことを言っただけなのに睨みが増した。なんで?
「嘘でしょ?じゃあなんで今日同時に教室に来たの!?」
声を上げてあたしを挑発するように、言った。
「それはたまたま、同じ場所にいたから...」
「同じ場所!?どこよ!」
どれだけ怒るのか、あたしは嫌になりながらも逃げずに答え続けた。
「おっ屋上...」
「じゃああんた、これから屋上出入り禁止ね。」
なんでそうなるの?あたし何もしてないのに。
「なっなんで?あたし何もしてない!」
「でも向日君と同じ場所にいるんでしょ?話してるんでしょ?あんたみたいなのが向日君と話していいと思ってんの?とにかく、あんたは屋上禁止。」
そう言い残して、ギャル達は去っていった。取り残されたあたしは放心状態だった。
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