こけしの恋歌~コイウタ~
サクラは歌う
「円香ちゃん、無理言ってごめんね~」
音楽事務所のドアを開けると、50代半ばの眼鏡をかけたダンディーなおじさまが出迎えてくれた。
「社長、お疲れ様です。雑誌の取材が入ったって聞きましたけど」
ダンディーなおじさまは、この音楽事務所の社長。
私をスカウトしてくれて、サクラとしてデビューさせてくれた張本人。
社長は私の気持ちを最優先に考えてくれて、いつも温かく見守ってくれている。
社長やマネージャーの高畑さん、運転手の西田さんがいてくれるから、私はサクラとして好きな歌をおもいっきり歌い続けていられる。
会議室に入ると、高畑さんが渋い顔をして書類を眺めていた。
「高畑さん、お疲れ様です」
「円香ちゃん、急にごめんね。ちょっと断れなくて…」
「大丈夫です!私のほうが無理言ってるんですから、謝らないでください」
取材する側としては、本人と直接会って記事を書きたいはず。
写真も載せたいはず。
でもサクラはメディアに露出しないし、顔出しもしない。
取材は書面で回答するのみ。
いつも間に挟まれる社長や高畑さんのことを想うと、私は申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
「サクラの直接取材を出版社の社長直々にお願いされた時はどうしようかと思ったけど」
高畑さんは苦笑いを浮かべている。
断るのは相当大変だったに違いない。
いつもニコニコしている高畑さんが疲れた顔をしているのは珍しい。
音楽事務所のドアを開けると、50代半ばの眼鏡をかけたダンディーなおじさまが出迎えてくれた。
「社長、お疲れ様です。雑誌の取材が入ったって聞きましたけど」
ダンディーなおじさまは、この音楽事務所の社長。
私をスカウトしてくれて、サクラとしてデビューさせてくれた張本人。
社長は私の気持ちを最優先に考えてくれて、いつも温かく見守ってくれている。
社長やマネージャーの高畑さん、運転手の西田さんがいてくれるから、私はサクラとして好きな歌をおもいっきり歌い続けていられる。
会議室に入ると、高畑さんが渋い顔をして書類を眺めていた。
「高畑さん、お疲れ様です」
「円香ちゃん、急にごめんね。ちょっと断れなくて…」
「大丈夫です!私のほうが無理言ってるんですから、謝らないでください」
取材する側としては、本人と直接会って記事を書きたいはず。
写真も載せたいはず。
でもサクラはメディアに露出しないし、顔出しもしない。
取材は書面で回答するのみ。
いつも間に挟まれる社長や高畑さんのことを想うと、私は申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
「サクラの直接取材を出版社の社長直々にお願いされた時はどうしようかと思ったけど」
高畑さんは苦笑いを浮かべている。
断るのは相当大変だったに違いない。
いつもニコニコしている高畑さんが疲れた顔をしているのは珍しい。