こけしの恋歌~コイウタ~
絶望
資料室での出来事の翌日から、成瀬課長は常務に同行して海外出張している。
課長は語学力が高く、通訳として上役の海外出張に同行することが多々ある。
語学力を買われて、海外支社に転勤になるのではないかという噂があるくらい。
しかも将来は取締役の一員に就くだろうとも言われている。
本当に次元が違いすぎる人、それが成瀬翔吾。
課長とはまだ話が出来ていない。
プライベートな連絡先を知らないし、海外となると余計に連絡が取りづらい。
一度総務部に連絡があったらしいけど、私は偶々席をはずしていた。
なんてタイミングの悪さっ!
私はガックリ肩を落として、トイレに向かった。
鏡の前で女性社員ふたりが課長について話していた。
こけしの私が入ってきても話は止まらない。
「成瀬課長、そろそろ結婚するんじゃないかしら?」
「もうすぐ30だし、海外に転勤になるなら、その前にって考えてもおかしくないよね~」
「世話好きの常務が秘書課の誰かを紹介してるんじゃない?」
「常務の紹介なら断れないよね~」
私は奥の個室の中で思わず声を出しそうになって、慌てて両手で口元を覆った。
課長は語学力が高く、通訳として上役の海外出張に同行することが多々ある。
語学力を買われて、海外支社に転勤になるのではないかという噂があるくらい。
しかも将来は取締役の一員に就くだろうとも言われている。
本当に次元が違いすぎる人、それが成瀬翔吾。
課長とはまだ話が出来ていない。
プライベートな連絡先を知らないし、海外となると余計に連絡が取りづらい。
一度総務部に連絡があったらしいけど、私は偶々席をはずしていた。
なんてタイミングの悪さっ!
私はガックリ肩を落として、トイレに向かった。
鏡の前で女性社員ふたりが課長について話していた。
こけしの私が入ってきても話は止まらない。
「成瀬課長、そろそろ結婚するんじゃないかしら?」
「もうすぐ30だし、海外に転勤になるなら、その前にって考えてもおかしくないよね~」
「世話好きの常務が秘書課の誰かを紹介してるんじゃない?」
「常務の紹介なら断れないよね~」
私は奥の個室の中で思わず声を出しそうになって、慌てて両手で口元を覆った。