こけしの恋歌~コイウタ~
立ち上がると、営業部の人が罰ゲームの内容が書かれた紙を引いた。

「罰ゲームは歌を歌っていただきます」

「……」

はっ!?

歌!?

よりにもよって、罰ゲームが歌!?

なんでー!?

歌はさすがにマズイでしょっ!?

救いを求める目で社長と高畑さんを見たけど、「頑張って」と見送られてしまった。

重い足取りで壇上に向かうと、会場中がザワザワ騒がしくなった。

「嘘っ!?桜庭さん!?」

「こけしちゃん!?」

「ビックリ!!」

驚きの声があちこちから聞こえてくる。

それもそのはず。

今の私は、会社での姿とは程遠く、誰なんだと疑われても仕方ないくらい変身している。

居たたまれない!

今すぐ消えたい!

ていうか、この状況で本当に歌を歌わなきゃいけないの?

マズイよ~。

あっ!しかも課長も見てるよ~。

チラッと横に目をやると、課長と目が合った。

課長は口パクで「か・わ・い・い」と言っている。

こんな時でも私をからかって遊んでいる。

さっきまでドキドキと緊張感で押し潰されそうだった私は、一気に脱力した。

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