【GL】独占欲の強い君。
そんなつもりは
静かな放課後の廊下。私は君が他の誰かに笑顔を見せている所を目撃した。
相手は見えなかったけど。
相手がどこかに行った瞬間、私は私に背を向ける君に唐突に声をかけた。
「今、誰と喋ってたの」
君が私の声に驚いて肩を揺らす。
きっと君は気づいてないんだよね。
さっき君と喋ってたあの子も...きっと、きっと君が好きなんだよ。それが友達としてか恋愛感情かは分からないけど。
「ごめんね...ごめんね...」
泣きそうになりながら、震えながら謝る君を見ていたら、何もかも許してしまいそうになる。
「何がごめんなの?」
...けど、そういうわけにもいかない。
彼女の唾を飲む音が聞こえる。
私、そんなに怒っているように見えるのか。
「...あ、あのね。さっきのは生徒会長で、えっと...」
やっと質問に答えてくれた君。でも、なんか凄く嫌だ。
(またあの生徒会長か...。)
彼女は生徒会役員だから。生徒会長と話すのは仕方の無いことなのだ。
そう考えたら、なんだかイライラが少しだけ収まった。
少し間を置いて私はこういった。
「...そ。生徒会長なら、仕方無いよね。」
君は、ホッとしたように息を吐き出す。
本当に顔に出る。
私は君に背を向けて反対の廊下を歩き出した。歩き出した時、君が何かを言った気がした
「...ねえ。何でりっちゃんはそんなふうになっちゃったの?」
私は君がこんなことを言っていたのを知る事は無かった。