夢色メイプルシュガー
「へ?」
ポツリと投げ掛けられた一言に、私はきょとんと目を丸くする。
「ファミレス知らねーし、勉強好きだし、そんな気がして」
「……そんな、ファミレスは両親が共働きだから連れて行ってもらえなかっただけで。勉強だって、特別好きってわけじゃないわよ」
笑って答えると、宗谷くんは不思議そうに首を捻った。
「好きじゃないのにやってんだ」
好きじゃないのに。
そう言われると、困るけど。
「なんて言うのかなぁ。当たり前になってるのかもしれない」
「当たり前?」
「うん。最初は、小さなことだったんだけど」
それは、今でも忘れられない記憶。
目をつぶったらすぐに浮かんでくる、懐かしい記憶だった。