夢色メイプルシュガー
「それで弁護士になりたい、か」
向けられた瞳は明らかに返事を求めていた。
だけど私はなんと返していいのかわからず、ただ言葉を探す。
「芽衣ってさ、お母さんのことすげぇ好きなんだな」
「……っ」
驚いて少し、固まってしまった。
だけど私はゆっくりと、無言のまま、頭を縦に動かした。
「……お母さんに憧れて、なりたいって思ったの」
絶対にお母さんと同じ弁護士になるんだって。
それが、小さい頃からの私の夢だった。
だけど今は──。
「でも今は、パティシエだろ?」
──ドキッ。
「えっと、それは趣味というか……」
「なんだ、まだ素直に認めねーの」
だって……。
「そ、宗谷くんは? 勇さんみたいなパティシエになりたいとか、思ったことないの?」
とっさに、話を切り替えるように早口で訊ねた。
笑顔を浮かべて答えを待つ。