夢色メイプルシュガー
「……どうだろ。わかんねぇ」
宗谷くんはスッと目線を外して、ポツリそう答えた。
……宗谷くん?
私、何かまずいことでも言っちゃったのかな?
不安に駆られ、言葉を続ける。
「ほら、勇さんがケーキを作る姿、とってもかっこいいじゃない?」
「俺じゃなくて親父の方がよかった?」
瞳がこっちを向いたかと思うと、またすぐに逸れた。
誰が見てもわかるくらい、ムスーッとしている。
怒っているというよりは、拗ねているといった方がぴったりかもしれない。
「そんなことないわよ」
「だって芽衣、親父の話ばっかじゃん」
……え?
あなたの話のつもりなんですけど。
私は頭の上に、点を3つほど浮かべてしまった。
さっきのはただの思い過ごしだったのか。
ホッとするのと同時、これはこれでどうにかしないとと焦ってくる。
「ごめんね。私、男の子と二人きりで出かけるなんて初めてで……そういうの、よくわからなくて」
別に悪気はないのよ、と暗に伝えた。
すると。