夢色メイプルシュガー






「おいしかったー!」


お会計を済ませた私たちは、ファミレスを後にする。


「なあ、まだ勉強やめる気にならねぇ?」

「うん。やっぱり落ち着かなくて」

「そっか」

「あ。これから図書館に行こうと思ってるんだけど、宗谷くんも行く?」

「……や、遠慮しとく」


言うと思った。

ゲ、と顔を顰めた宗谷くんに、私はくすりと笑う。


「宗谷くん、今日はありがとね。とっても楽しかった」


初めてのスイーツコレクション。

初めてのファミレス。

今日は私にとって初めて尽くしの、充実した一日だった。


「俺こそ。すげー幸せだったよ」


……宗谷くん。


「私も幸せだった。……だって、あんな間近で素晴らしい作品を見られたんだもん」


世界屈指の輝き。

信じられないけど、それを私たちは体感したんだ。


ほんと、ステキだったなぁ。

胸に手を当て言うと、宗谷くんはなぜか小さく溜め息を零した。

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