夢色メイプルシュガー
*
「おいしかったー!」
お会計を済ませた私たちは、ファミレスを後にする。
「なあ、まだ勉強やめる気にならねぇ?」
「うん。やっぱり落ち着かなくて」
「そっか」
「あ。これから図書館に行こうと思ってるんだけど、宗谷くんも行く?」
「……や、遠慮しとく」
言うと思った。
ゲ、と顔を顰めた宗谷くんに、私はくすりと笑う。
「宗谷くん、今日はありがとね。とっても楽しかった」
初めてのスイーツコレクション。
初めてのファミレス。
今日は私にとって初めて尽くしの、充実した一日だった。
「俺こそ。すげー幸せだったよ」
……宗谷くん。
「私も幸せだった。……だって、あんな間近で素晴らしい作品を見られたんだもん」
世界屈指の輝き。
信じられないけど、それを私たちは体感したんだ。
ほんと、ステキだったなぁ。
胸に手を当て言うと、宗谷くんはなぜか小さく溜め息を零した。