夢色メイプルシュガー


……あぁ、ステキだった。

初めての経験にときめいた、土曜日。

濃密なあの日から、早くも4日が経ち──。


そしてまた、“あの”水曜日が巡ってきた。



「メイメイまだー?」


お昼休みの教室、ドアの前から急かすように私を呼んだのは、体操服姿の希美。

スカートに手をかけたまま停止していた私は、慌てて着替えを再開する。


「ごめん、ちょっと待って」


もう私ったら、ほんとヤダ。

自分のことながら呆れてしまう。


最近、ずっとこんな調子なんだもの。

あの日の余韻がいまだに冷めなくて、気づけば夢の世界へと飛んでいる。

さすがに情けない。


「お待たせ」


今日の体育は、バスケ。

というわけで。

ちゃんとシューズを持ったことを確認してから、私は希美と体育館へ向かった。

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