夢色メイプルシュガー


……宗谷くん、今から試合なんだ。

センターラインに立って、青いゼッケンを着けているその彼。

なぜだか私の目は、そこから離れようとしない。

どうして……。



「気になる?」

「……っ!?」


ふと聞こえた声に意識が呼び戻され、口を開く。


「べ、別に、宗谷くんのことなんて──」

「あれー? 誰のことなんて言ってないんだけどなー?」


うっ!

二タニタと、これまた愉しそうに笑う、希美。

私は頬をおさえて俯く。

……もういやだ。


「ってか希美、試合は?」

「私のチームも休みだよ」


試合表を見てみると、たしかに希美のチームも休憩になっている。


「それより、男子の試合見ようよ」


え、と零した私に希美がつけ足す。


「王子、応援しなきゃだしね?」


応援しなきゃって……。

どうしようか考えあぐねていると。


「ナイスカットォ!」


そんな声とともに、キャーーッと大きく歓声が響き渡った。

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