夢色メイプルシュガー
こっちに気づいたらしい宗谷くんが、にっこりと微笑みかけてくる。
えっと、ここで目を逸らすのはやっぱり変よね……?
なんてワタワタしながら、ひとまず微笑み返した私。
ニィッと歯を見せて笑った宗谷くんは、そんな私にVサインを向けた。
「……っ」
パチッと目を見開く。
胸の中で何かが跳ねたような、そんな感覚がして。
──あれ、私今一瞬、ドキッとしなかった……?
ハッとした途端に俯いた。
い、いやいやいや……!
うん、違う。
違うわよ、絶対。
自己完結してもう一度目線を戻すと、宗谷くんは周りにいた男子たちに揉みくちゃにされていた。
「わ、やめろって」
「んだよ、さっきのアレ!」
「抜けがけなんてずるいぞ宗谷」
仲良いなあ、男子って。
ふっと笑ってしまった時、背中に違和感を覚えた。
その正体──いや、犯人は。