夢色メイプルシュガー
「見えたんじゃなくて、見たんでしょ?」
宗谷くんの場合、きっとそうに違いない。
私は睨みをきかせて、彼を見た。
「人に見られても恥ずかしい点じゃねーんだし……つーか、むしろ自慢できる点なんだから、別にいいじゃん」
「あ。やっぱり盗み見たのね!?」
「人聞き悪い言い方するなって」
開き直ったような態度に、堪らず「もう」と溜め息をつく。
すると宗谷くんは、頭の後ろで手を組みながらふっと空を見上げた。
「いいなー。たぶん俺、芽衣の半分もねぇわ」
ケラケラ笑いながら言った彼に、
「テスト勉強、ちゃんとした?」
私はすかさずそう返す。
「ほとんどしてねぇ」
「だからでしょ」
「だって楽しくねーもん」
宗谷くんは、むーっと嫌そうに眉を歪めた。