夢色メイプルシュガー


『私らしさってなんだろう?』

『そもそも、テーマって何?』


ここまで来れば、もうドミノ倒し。

頭が痛くなって、思いつかない自分にむしゃくしゃして。


『……もう、無理』


考えることを中断してしまった、というわけだ。



「じゃあまず、テーマから決めてくか」

「ええ」


私は、宗谷くんが用意してくれたオレンジの椅子に座る。

隣に座った彼が、首を斜めにして私を見た。


「芽衣の好きなものって何?」


んーと、何だろう……。


「もちろん、メイプルタルトでしょう。それから、色だと赤、季節は春って感じかしら」

「うーん」


難しいなと唸る宗谷くんに、私は申し訳ない気持ちになる。


「ごめんね、私のことなのに一緒に考えてくれて」

「気にすんなって。期限決まってねぇんだし、ゆっくり考えようぜ」


……宗谷くん。

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