夢色メイプルシュガー
『芽衣、その時のケーキをリメイクしよう!』
約2週間前のあの時、宗谷くんが言った言葉。
正直、最初は戸惑った。
まさかあのケーキをリメイクするなんて、考えもしていなかったんだもの。
それに今、お母さんには内緒でケーキ作りをしている。
そういうこともあって、
本当にいいのかな?
なんてちょっぴり、不安に駆られたんだ。
だけど私は彼に、『うん』と伝えた。
だって、とっても素敵なアイデアだと思ったから。
お母さんは大好きだし、ケーキ作りにハマったきっかけだし。
これなら、“私らしいケーキ”だって言えるかも……!
そんな気がしたら、わくわくが止まらなかった。
ぼんやりと考え事をしていたら、もう校舎まで辿り着いていた。
中に入るなり、丁寧に傘を降り畳む。
ふるふると揺さぶり、大量にできた粒を落としていく。
よし、と綺麗になったことを確認してから、私はそれを傘立てにしまった。
その時。
「涼岡さん」
誰かに後ろから呼び止められた。