夢色メイプルシュガー


振り返って目に入ったのは、同じクラスの元村(もとむら)さんと、もう一人、見覚えのない女の子。


なに?

不思議に思って見つめていると、右側にいる名前の知らない茶色い髪の子が、密やかに口を開いた。


「涼岡さんって、宗谷くんと付き合ってるの?」


心なしか、頬が赤らんで見える。


「え、違うけど」


わけもわからないまま、私はとっさに答えた。

すると彼女たちは、なぜか顔を見合わせた。


「ほらー、やっぱり言ったじゃん」

「うん、よかった〜」


......どういうこと?

きょとんと首を捻る私を置いて、二人は「うふふ」と楽しそうに笑いながら、どこかへ走っていった。







「と、いうわけなんだけど。おかしいよね?」


教室に入ると、席に座ってケータイをいじっていた希美。

私はすぐにそこへ駆け寄って、さっき生まれたばかりの疑問をぶつけた。


「んー……」


唸る希美をじっと見つめる。

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