夢色メイプルシュガー
振り返って目に入ったのは、同じクラスの元村(もとむら)さんと、もう一人、見覚えのない女の子。
なに?
不思議に思って見つめていると、右側にいる名前の知らない茶色い髪の子が、密やかに口を開いた。
「涼岡さんって、宗谷くんと付き合ってるの?」
心なしか、頬が赤らんで見える。
「え、違うけど」
わけもわからないまま、私はとっさに答えた。
すると彼女たちは、なぜか顔を見合わせた。
「ほらー、やっぱり言ったじゃん」
「うん、よかった〜」
......どういうこと?
きょとんと首を捻る私を置いて、二人は「うふふ」と楽しそうに笑いながら、どこかへ走っていった。
*
「と、いうわけなんだけど。おかしいよね?」
教室に入ると、席に座ってケータイをいじっていた希美。
私はすぐにそこへ駆け寄って、さっき生まれたばかりの疑問をぶつけた。
「んー……」
唸る希美をじっと見つめる。