夢色メイプルシュガー
「別に?」
「えっ」
少しして放たれた言葉に、私は大きく目を見開く。
面をくらった気分。
だって正直なところ、「うん、おかしいよ!」なんて、完全に同意が聞ける前提で訊いたんだもの。
それがまさか、否定されるだなんて……。
「何でよ!?」
私は、眉をひそめて前のめりになる。
すると希美はハァァ、と少し長めの溜め息をつき。
「もー、メイメイわかってないなあ」
そう言って、露骨に肩を落とした。
「体育祭のこと、もう忘れちゃったの?」
「もちろん覚えてるけど」
だって、ちょうどこの前の土曜日にあったばかりなんだから。
「じゃあ、その時の宗谷くんのことは?」
「それも……覚えてる」