夢色メイプルシュガー


数Ⅰの授業が始まってから、さっそく宗谷くんの観察を開始した私。


この前の席替えで、私は一番右端の列にある、後ろから二つ目の席になった。

宗谷くんはちょうど真ん中の列の前から3番目だから、黒板を見るついでに確認することができる。



「問10から問13、解いてみてー」


先生の合図で、いつものように練習問題を解く時間が訪れた。

私は、スラスラとノートにシャーペンを走らせる。

全て答えを導き出すと、それを机の上に置いた。


間もなく。


「今日は誰にしよう……」


先生がそんな声を響かせ、教室内を見回し始めた。


「じゃあ、この列。順番に伊吹、富山、宗谷、村井。前に来て解いて」


呼ばれた名前にドキッとしてしまった。


宗谷くん……大丈夫かしら?

いつもこの時間、寝ちゃってるし……。

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