夢色メイプルシュガー


心配して目線を動かす。


「……っ」


驚いてしまった。

ノートを手に、立ち上がった彼。


宗谷くん、起きてる……!?


それだけじゃなかった。

当てられた問題も、難なくといて見せて。


「……おお、正解だ」


先生が、信じられないといった様子で宗谷くんを見た。


……すごい。

私もたぶん、その時先生と同じような反応をしていたと思う。


そうだ。

思い返せば最近、宗谷くんが授業中先生に怒られている姿を見なくなった気がする。

希美も、いつの間にか彼のことを“居眠り王子”なんてあだ名で呼ばなくなっていた。


つまりは、授業中ずっと起きてるんだ。

あの居眠り常習犯だった、彼が。


……だから?

ふと思った。

瞬間、謎が解けた。


体育祭での活躍。

変わりはじめた授業態度。


希美が伝えたかったのは、このことなんだ。


きっと、あの子たちは──。

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