夢色メイプルシュガー
「芽衣ー」
突然、どこからか名前を呼ばれて。
振り返った途端、私はビクッとなって固まってしまった。
「そ、宗谷くん……!」
カァァッと一気に顔が熱くなる。
鼓動が異様なほど速くなるのを感じる。
なんでだろう、直視できない。
いつもと同じなのに。
いつもの彼なのに。
逃げるように目線を伏せると、宗谷くんが「ん?」と言って覗き込んできた。
「芽衣?」
ち、近っ......!
「なっ、なんでもない! それより、どうしたの?」
できるだけ落ち着いて声を出した。
すると宗谷くんは、スッとあっちの方を指さした。
「……先輩、用があんだってさ」