夢色メイプルシュガー


「はーい」


私はベッドから起き上がる。

ドアが開いた瞬間、胸が、ドキリと嫌な音を立てた。


真剣な目。

笑ってない口。

現われたのは、不穏な空気を纏ったお母さんで。


「ど、どうしたの」


眉を垂らしてすぐ、真っ直ぐに結ばれていた口が徐に動いた。


「芽衣、あなたにお話があります」

「……っ」



窓の外の雨音が、その時激しく鼓膜を揺さぶった。

< 167 / 228 >

この作品をシェア

pagetop