夢色メイプルシュガー






ゆっくりと時は流れ。

いつしか、放課後になっていた。


結局、あれから一度も私は宗谷くんと会話をすることがなかった。

もちろん、触れ合うことも、目を合わせることも。

なんにも、なかったんだ。


……どうしてこうなっちゃったんだろう。

わかってはいたものの、実際体感してみると胸が苦しい。


教科書をカバンに詰めながら、私はぼんやりとしてしまっていた。


やっと、想いに気づいたばかりなのに……。

はぁ、と息を零して俯く。


そして、

もう帰ろ。


思いながら、ふと顔を上げた時。

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