夢色メイプルシュガー


「芽衣」


「……っ!?」


彼が、宗谷渚が、目の前に立っていた。


「宗谷く──」

「来い」


そう言って、宗谷くんは力強く私の腕を掴む。


「あのっ」


抵抗なんて認めてくれない。

できる余地すらない。

導かれるままに、私は足を動かしていく。


「……」


ピタリと止まった足。

その時私が辿り着いたのは、


“多目的室”


そう書かれた、懐かしい教室だった。

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