夢色メイプルシュガー
……ついに。
ついに、わかっちゃう。
さっきまではまだ薄かった現実味が、ふつとして湧いてきたのだ。
希美には“楽しみ”だなんて言ったけど、ほんとは少しもそんなことない。
むしろ、その逆。
こんなにも開けたくないと思った成績表は、人生で初めてだ。
この結果次第で、運命が決まってしまうんだもの。
「芽衣」
「……うん」
廊下の窓から顔を覗かせ、声をかけてきた宗谷くん。
私は息を呑むように、頷いた。
向かうのは、あの場所。
多目的室。
全ての始まりの場所で、これから決着がつく。
──ドクン、ドクン。
耳に聞こえるのは、自分の心音と二人分の足音だけ。
お互い、何も言わなかった。
何も聞かなかった。
その間ずっと、私は口を固く結んで。
カバンの紐をぎゅっと握りしめながら、宗谷くんの背中についていった。